最も古く家畜、ペットとして愛されてきた動物は犬だった。番犬や猟犬、盲導犬や介護犬として使われ、動物の中では人の一番の友として共に歩んできた。最近では、猿による農作物への被害を食い止めるため、猿を追い払うモンキードッグも注目されている。動物好きとして知られるJA京都中央会・中川泰宏会長と、人と犬の絆づくりを目指すハッピードッグライフ(株)取締役副社長・岡田治子さんが農業・家畜の歴史を踏まえ、農業の現状や現代日本社会のひずみ、これからの農業や社会のあり方を語り合った。


 
中川 泰宏
(なかがわ・やすひろ)
 JA京都中央会・各連合会会長。前衆議院議員。1951(昭和26)年9月19日、京都府南丹市八木町生まれ、59歳。府立園部高校卒、八木町議を経て八木町長。現在、JA京都中央会・JAバンク京都信連、JA全農京都、JA共済連京都の共通会長。著書に『北朝鮮からのメッセージ・日本への警告を込めて』『弱みを強みに変えて・谷間の街からのメッセージ』など。
岡田 治子
(おかだ・はるこ)
 ハッピードッグライフ(株)取締役副社長。1964(昭和39)年生まれ、46歳。家族構成は夫・秀樹さん(45)、長女・優佳さん(17)。専業主婦だったが、愛犬ウエンディと出合ってから生活が一変。ディスク(フリスビー)ドッグプレーヤーとして家族で全国行脚。2008年に京都初の本格的なドッグスポーツ施設「KYOTANBA(京丹波)DOG FIELD」を仲間と開設。犬の立場に立った全面芝 生化された広大なフィールドは多くの愛犬家の支持を得ている。また、保育士としての知識を基に、一人でも多くの子どもたちに、動物や自然とふれあうことの素晴らしさを実感してもらうための活動にも力を注いでいる。
  
中川泰宏JA京都中央会会長 明けましておめでとうございます。人と犬とのふれあいについては、私も大いに共感するところがあり、じっくりお話を伺いたいと思います。

岡田治子ハッピードッグライフ取締役副社長 明けましておめでとうございます。犬好きがこうじて始めた事業ですが、昨年12月、おかげさまで2年たちました。この間、とても多くの方に支えていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。今日は、犬を通じて見える社会のあり方や人と人とのふれあいについて、私なりの考えを述べさせていただきます。

中川会長 人間が犬を飼いだしたのは、遺跡で見る限り1万年前だそうです。実際はそれ以前から飼っていたと思います。犬は人間社会の最古の仲間だといえますね。

岡田取締役 また、犬は雑食性で飼いやすく、人間と同じように群れで行動するので、人間との関係で社会的な行動が取れることも大きかったようです。

中川会長 犬の祖先はオオカミですね。わが家でも犬は何頭か飼っていますが、ホワイトテリヤが一番かわいいですね。お宅ではどんな犬がいますか。

岡田取締役 ラブラドールレトリバーや、ボーダーコリーなど5頭います。小さいころから動物が大好きで、さまざまな動物を飼っていました。


広々としたメーンフィールド

愛犬ウエンディとディスク
ゲームを楽しむ岡田取締役

中川会長 京丹波町橋爪で犬のスポーツ施設を開設されているそうですが、そのきっかけは何でしょう。ユニークな犬のしつけをされているそうですね。

岡田取締役 ディスク(フリスビー)ドッグは、米国で始まったドッグスポーツで、それをしつけにも取り入れています。人と犬との関係は、人と人との付き合いや関係によく似ていると思います。こちらの一方的な思い込みだけで動いても、相手が満足しているとは限りません。狭い場所で厳しく教え込むより、犬が自由に動き回る自然空間をフルに使い、犬も人間も楽しく遊びながら関係を築きます。

中川会長 面白いですね。自然の中での交流こそが真のふれあいといえますね。農業も自然と人との対話、信頼の絆です。ところで、ディスクドッグのゲームはどのようにするのですか。

岡田取締役 20〜30の合図、指示があり、これをコマンドといいます。犬は一投ごとにそのコマンドを聞いて、肩から跳躍し、投げたディスクをくわえたり、足の間から走り抜けたりします。動作を美しく、すてきに見せることで得点が決まります。人と犬が一体化して初めて成り立つゲームです。この練習が犬のしつけとなり、飼い主のマナー向上にもつながります。犬を介して飼い主同士の交流、親密さも深まります。

中川会長 犬のスポーツ施設を開設されるについては、いろいろとご苦労があったと聞いています。

岡田取締役 建設残土の処理跡地を譲り受け、50メートル×40メートルのメーンフィールドを造成し、仲間たちと手作業で芝生を張りました。こう配を2%以内にしたりサブフィールド(30メートル×20メートル)も造っています。芝生やこう配は犬の足を傷めないためです。大会やセミナーを開催し、多くの愛犬家にご利用いただいています。日本ではまだ数少ない施設なので、各地から集まってみえます。

中川会長 ペットを飼う人は増えています。動物を飼うことは、モノを買うのとは違い、動物を理解することが問われますね。

岡田取締役 多くのペットショップでは、「かわいい」とか「安い」といったやり取りが中心で、犬の特性や家での飼育環境の正しい説明は後回しです。欧米に比べて相当遅れています。これからの課題です。

中川会長 家畜やペットとの付き合いは、日本と欧米とでは歴史の差は大きいようです。いずれ時間の経過と共に解消していくでしょう。
 同じような課題は農業にもあります。昨年から環太平洋経済連携協定(TPP)が議論されていますが、国際化の流れは避けては通れません。
 JAグループとしては、TPPを日本農業をいろいろ考えるきっかけとしてもらい、国民の合意を得て、日本農業を守り、農家が安心して営農できるようにしていくことが大切です。特に酪農の歴史をみると、日本は明治から100年程度なのに、欧米は何千年もの経験と伝統があります。この差を埋めるため、日本なりの工夫、やり方で研さんに努めています。

岡田取締役 国際化の流れとか、日本の社会が変革期に来ていることは、主婦としても実感しますね。こんな時代だからこそ、私たちの施設にお年寄りや子どもたちを招き、芝生の上で京丹波町の豊かな自然とふれあってもらったり、クラブハウスで憩いのひとときを過ごしてもらえれば、と考えています。

中川会長 息せき切って動き回る社会から、背伸びせず、自然体で暮らす時代が来たと思います。家族とのふれあいの絆や、地域連帯・協同の理念も見直されてきています。自分さえよければではなく、他人への気遣いや助け合いの心、感謝の気持ちなど、日本人がこれまで大切にしてきたことを、取り戻す時が来ています。

岡田取締役 犬とのゲームでもそれを感じています。ゲームの進行中に、私の投げそこなったディスクをパートナーの犬が必死にキャッチし、カバーしてくれるのです。「あっ、ごめん。ありがとう」と思わず声を掛けると、得意げに、うれしそうな顔をします。そんな時、とても幸せな気分になります。
中川会長 私どもJAグループの役割は多くの方に、その幸せや快適なくらしを実感してもらうことです。JAグループ京都として今年は、第25回JA京都府大会決議「大転換期における新たな協同の創造」の実践中間年度として、一つは、地域農業戦略実践による農業所得増大を図ることとしております。農業の持つ多面的機能もしっかり地域戦略に位置づけ、取り組んでまいります。
 二つは、JAの総合力発揮によるくらしの支援です。特に農業体験型の食農教育を通した子どもの健全な育成、高齢者対策や健康管理対策など、安心して、豊かにくらせる地域社会をつくる活動を進めてまいります。これらの協同を支えるJA改革を推し進め、組合員・利用者・地域住民との絆を深め、期待に応えていきたいと思います。

岡田取締役 すてきですね。消費者の立場からも、農業がしっかりすることは心強いものです。私も微力ながら、これからも人と犬の交流を通じ、一人でも多くの人に幸せを実感していただけるよう頑張ります。どうぞ今後ともよろしくお願いします。

中川会長 人と人との絆、人とペットとの絆、そして人と大地との絆を大切にしていきたいと思います。本日はありがとうございました。


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